トピックス 第19回:役員報酬の損金不参入


平成18年4月1日以後に開始する事業年度から、特殊支配同族会社(注1)が業務主宰役員(注2)に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額(注3)に相当する部分の金額は損金の額に算入されません。 ただし、特殊支配同族会社の基準所得金額が800万円(一定の場合には3,000万円)以下である事業年度など(注4)は、この規定は適用されません。

(注1)特殊支配同族会社

業務主宰役員及びその特殊関係者が株式の90%以上を保有する同族会社で、業務主宰役員及びその特殊関係者が常勤役員の過半数を超えるものを言います。


(注2)業務主宰役員

法人の業務を主宰している役員(個人)を言います。


(注3)給与所得控除額

以下の速算表で計算される金額を言います。 例)給与1,000万円の場合、1,000万円×10%+120万円=220万円(給与の22%)となります。


(グラフ掲載)


給与の収入金額

給与所得控除額

1,800,000円以下

収入金額×40%
(650,000円に満たない場合には650,000円)

1,800,000円超
3,600,000円以下

収入金額×30%+180,000円

3,600,000円超
6,600,000円以下

収入金額×20%+540,000円

6,600,000円超
10,000,000円以下

収入金額×10%+1,200,000円

10,000,000円超

収入金額×5%+1,700,000円

 

(注4)適用されない事業年度

基準所得金額が1,600万円(※)(一定の場合には3,000万円)以下である事業年度など当該規定が適用されない事業年度は、以下の要件を満たす事業年度です。

    • 基準所得金額が1,600万円(※)以下である事業年度
    • 基準所得金額が1,600万円(※)超3,000万円以下であり、かつ、基準所得金額に占める基準役員給与の割合が50%以下である事業年度
(※)平成19年4月1日前に開始した事業年度においては、800万円となります。
基準所得金額
直前3年以内の事業年度の所得金額+主宰役員の役員給与の合計額の年平均額(ただし、直前3年間が存在しない法人においては当該進行事業年度で計算を行います)
基準役員給与
直前3年以内の事業年度の主宰役員の役員給与の年平均額(ただし、直前3年間が存在しない法人においては当該進行事業年度で計算を行います)



■損金に算入することができない額、増加する税額

本規定が適用されることにより、今まで役員給与として損金算入されていた以下の金額が、損金に算入することが出来なくなり、増加税額が発生します。

役員給与の額

損金不算入額

増加税額

月額報酬

年報酬

\500,000

\6,000,000

\1,740,000

\711,138

\600,000

\7,200,000

\1,920,000

\784,704

\700,000

\8,400,000

\2,040,000

\833,748

\800,000

\9,600,000

\2,160,000

\882,792

\900,000

\10,800,000

\2,240,000

\915,488

\1,000,000

\12,000,000

\2,300,000

\940,010

\1,100,000

\13,200,000

\2,360,000

\964,532

\1,200,000

\14,400,000

\2,420,000

\989,054

\1,300,000

\15,600,000

\2,480,000

\1,013,576

\1,400,000

\16,800,000

\2,540,000

\1,038,098

\1,500,000

\18,000,000

\2,600,000

\1,062,620

\1,600,000

\19,200,000

\2,660,000

\1,087,142

\1,700,000

\20,400,000

\2,720,000

\1,111,664

\1,800,000

\21,600,000

\2,780,000

\1,136,186

\1,900,000

\22,800,000

\2,840,000

\1,160,708

\2,000,000

\24,000,000

\2,900,000

\1,185,230


  1. (注1)配偶者やご子息などが同じ会社で勤務している場合であっても、本規定の適用を受けるのは主宰役員(通常は代表取締役)のみとなります。
  2. (注2)増加税額は、年間600万円の報酬の場合であっても、1年間で711,138円。1ヶ月あたり59,261円であり、非常に高額です。

■適用される要件

本規定の適用を回避するためには何すべきかを検討するために、本規定が適用される要件をおさらいします。 (以下の要件に合致する企業に適用されます)
次の要件のすべてに当てはまる法人

  1. 1. 主宰役員及び同族関係社の株主保有割合が90%以上
  2. 2. 直前3年間の所得金額+主宰役員の給与合計の平均値が年間3,000万円以上

  3. もしくは
  4. 1. 主宰役員及び特殊関係者の株主保有割合が90%以上
  5. 2. 直前3年間の所得金額+主宰役員の給与合計の平均値が年間1,600万円以上3,000万円未満
  6. 3. 直前3年間の所得金額+主宰役員の給与合計の平均値に占める主宰役員及び特殊関係者の給与の割合が50%以上

■適用を受けない対策

本規定の適用を回避するためには何すべきかを検討するために、本規定が適用される要件をおさらいします。 (以下の要件に合致する企業に適用されます)
次の要件のすべてに当てはまる法人

  1. 同族会社(株主3人以上で50%超の株式を保有する会社)でない会社になる。
    本規定の適用は、同族会社が前提となっていますので、同族会社に該当しない法人には本規定の適用はありません。ただし、株式の名義が単なる名義人であった場合には、同族会社と判定されてしまいますので注意が必要です。
  2. 株式の保有割合を90%未満にする(株式の10%超を主宰役員及び特殊関係者以外の第三者が保有する)
    これも(1)と同様、株式を分散する方策です。10%超を主宰役員及び特殊関係者以外の者が保有すれば、クリアーです。
  3. 常勤役員を主宰役員及び特殊関係者以外の者で過半数にする。
    主宰役員及び特殊関係者以外の者が、常勤の役員として勤務している場合には、クリアーですが、現状の使用人を役員にした場合など、役員に抜擢された人間は無意識ですがプライドが成長してしまうケースが多いものです。結果、経営上の問題が発生する可能性が存在することをご承知ください。
  4. 主宰役員及び特殊関係者の給料及び法人の所得金額の合計額を1,600万円以下に抑える。
    所得金額とは法人税法22条の規定による所得金額を指していますので、法人税別表4の所得金額を指します。この金額に主宰役員及び特殊関係者の給与を合算した金額が年1,600万円を超えなければ本規定の適用は受けません。

役員報酬の損金不参入

特殊支配同族会社が業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額に相当する部分の金額は損金の額に算入されません。